大学院の夜の授業を受ける70代男性、Aさん。
何度もの腸のポリープ除去・目の手術、片方の耳は難聴。
妻は亡くなり、息子家族は海外で暮らしている、いわゆる独居老人。
私の”学習を楽しむ”について説明させてください。健康喪失、配偶者喪失、単身生活での学習は楽しみではなく、苦しみです。学習進度は遅々としていますが、中止は出来ません。やめれば残るのは”時間の空白”という最大の苦痛です。
かつては家族がいつもそばにいて、毎日やることがあった。それらすべてをなくしたAさんの、孤高の挑戦が始まった。
核家族の最晩年の姿は「独居」。いま人々は必死でこの時期を生き抜こうとしている。
― 井上治代・東洋大教授。
2011/07/05付 中日新聞夕刊コラム「紙つぶて」より。
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